COP1 –気候変動枠組条約第1回締約国会議-
議題・論点解説
当会議は、現在「COP」として広く知られる国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国会議の第1回を題材にしています。
UNFCCCは、地球温暖化防止のための国際的な枠組みを定めるものとして1992年に採択されました。1990年に発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書によって、地球温暖化の影響の深刻さが浮き彫りになるなどし、地球温暖化に対する危機感が高まったことを受けてのことでした。
COP1は1994年のUNFCCCの発効を受け、1995年に開催されました。ここで議論の中心となったのは、今後の気候変動対策のあり方でした。UNFCCCはその名の通り「枠組み」を定めたものであり、具体策について締約国会議で議論することが想定されています。そのため、COP1ではその方向性について議論をすることになったのです。
当会議では、実際のCOP1の議論から以下の2つの論点をとりあげます。
・約束の妥当性の検討
UNFCCCでは、先進国は「温室効果ガスの排出量を2000年までに1990年の水準に戻す」という努力目標の下、さまざまな措置をとることを約束しています。この論点では、その妥当性の検討とそこから導かれる必要な対策の議論を扱います。
この約束のみでは気候変動問題の解決には不十分であると多くの国が認める一方、どのような具体策を取るかでは意見が対立しています。
先進国は枠組みを具体化する中で排出抑制義務を途上国に拡大することを唱え、他方で途上国は将来の経済発展を見据え、この約束の達成見込みすらない中で、途上国に抑制義務を拡大することを拒否しています。
こうした大きな対立軸の他にも、先進国内でも具体的な義務を負うことに消極的な国が存在するなど、各国の理念や利益を背景にさまざまな立場が対立して存在しています。
・共同実施
UNFCCCでは、先進国がその排出抑制措置を他の国と共同で実施できる可能性が示されています。これがこの論点で扱う「共同実施」です。これは、ある国が他国の排出削減措置に投資し、そこで削減された量を自国の排出削減量として計算に入れることができるというものです。
先進国は排出削減をよりコストが低い国で行うことで、効率的に排出削減ができるとしてこれを支持する一方、途上国は先進国が自国内での排出削減措置を講じる責任を免れる方法になるとしてこれに反対しています。
フロント

会議監督
浅岡幾一郎|同志社大学法学部3年|京都研究会老メン

副会議監督・議長

副会議監督
六代深尋|早稲田大学政治経済学部3年|早稲田研究会|老メン

秘書官
山口凜太朗|早稲田大学社会科学部3年|早稲田研究会|旧メン

秘書官
奥泉千鶴|横浜市立大学国際商学部2年|日吉研究会|旧メン
会議詳細
議題
気候変動に関する国際連合枠組条約 第1回締約国会議
The first session of the Conference of the Parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change
設定議場
気候変動に関する国際連合枠組条約 第1回締約国会議
実際の成果文書
Decision 1/CP.1・Decision 5/CP.1
*FCCC/CP/1995/7/Add.1 に掲載
設定日時
1995年3月28日~1995年4月7日
使用言語
公式討議:日本語
非公式討議:日本語
成果文書:日本語(一部英語併記)
事前交渉・事前会合
なし
募集人数
35人
Canvas
「Canvas」は当会議を通して参加者の皆様と共有したい、模擬国連の楽しさを表しています。
模擬国連にはさまざまな楽しみ方があります。その中で、当会議は「交渉することの楽しさ」に焦点を当て、会議を作成しています。模擬国連会議には決められた結末はありません。結末は参加者の交渉によっていかようにもなります。当会議は、この自らの交渉で会議の結末を左右できるという点に、模擬国連の楽しさを見出しています。
真っ白なキャンバスは、さまざまな色で彩ることでひとつの新たな作品になります。このように、当会議では、自由に参加者の皆様それぞれの「色」で交渉戦略を彩り、会議本番に結実させるという経験を通じ、参加者の皆様に交渉することの楽しさを味わっていただければと考えています。
当会議は交渉を楽しむという経験を参加者の皆様に共有することを1番の目標においています。
このため、交渉の楽しさを最大化するように会議設計を行っており、以下のような特徴があります。
・わかりやすさ
当会議は広く知られている気候変動問題を題材にしているため、議題や論点を理解することは比較的容易であり、各国の立場も比較的明確です。これにより、交渉戦略を考える時間を十分に確保することができます。
・自由度の高さ
COP1は気候変動対策の具体的な方向性を議論することが要請される会議です。すでに一定の方向性が定まっている状態で詳細な内容を議論する会議に比べ、前提条件が少ないため、より自由な議論が展開できます。
また同時に、方向性という今後を左右する議論であるため、担当国の利益を守るためにはじっくりと交渉戦略を立てることが求められます。この点で、かみごたえのある議題であるともいえます。
なお、議論範囲は実際の会議から絞り込み、高い自由度がありつつも議論が拡散しないように配慮しています。
・コンセンサス
当会議では、成果文書を採択する場合、反対の意思表示がないことをもって成立とする、「コンセンサス方式」をとることが想定されます。COP1の結果には各国の利害が複雑に絡み合っており、コンセンサスを確保するためには、交渉が非常に重要になります。
Argentina・Australia・Brazil・Canada・China・Czech Republic・Fiji・France・Germany・India・Japan・Kuwait・Malaysia・Maldives・Netherlands・New Zealand・Norway・Papua New Guinea・Philippines・Russian Federation・Samoa・Saudi Arabia・Senegal・Spain・Trinidad and Tobago・United Kingdom・United States of America
*予告なく変更する可能性があります。
*当会議では1カ国1人を原則とします。ただし、参加人数によりペアを組むことをお願いする場合がございます。
*大会参加申込時点でペアでの参加を希望される方は、会議公式SNSのDMにてご相談ください。
こんにちは!
会議監督を務める、京都研究会老メンの浅岡幾一郎です。
私たちの会議に関心を持ってくださり、ありがとうございます。
私たちの会議は「楽しさ」を第一にして模擬国連会議を作ってみよう、というところから出発しています。もちろん模擬国連についてじっくりと考えることは意義あることです。ただ一方で、楽しむことを追求する、そうした模擬国連活動のあり方もあってもいいのではないか、とも感じています。「好きこそものの上手なれ」といいますが、私たちの会議ではまさにその精神で「楽しい」という参加者の皆様と感覚を共有するべく、コンセプトを定め、議題を選び、会議設計をしています。
この「楽しさ」を第一に掲げる私たちの会議には、東西から頼もしく、そして賑やかなメンバーがフロントとして集っています。「楽しさ」の言語化の困難さを感じつつも、フロント全員でそこに正面から向き合い、議論を重ねながら会議を作っています。
参加してよかった、楽しかったと思っていただけるよう、精一杯取り組んでまいります。楽しそうだなと思ってくださった方は、ぜひご参加ください。皆様と「楽しい」という経験を共有できる日を楽しみにしております。