第24回模擬国連会議関西大会

キプロス情勢

議題・論点解説

 キプロス島は面積9251平方kmの地中海に浮かぶ島であるが、古来よりその戦略的価値が重視されてきた。1960年、キプロスは英国からの独立を達成したものの、キプロス国内のギリシャ系・トルコ系共同体の間の融和は進展せず、不和が続いていた。1970年代に入ると、ギリシャ系共同体内部での対立が顕在化するようになる。1974年7月にはギリシャの軍事政権による援助を受けた一部のギリシャ系勢力が、ギリシャ系のマカリオス政権に対しクーデターを起こすまでに至った。当会議はクライシス会議として、このクーデター発生直後に会議が開始され、デリの皆さんには時間が進行し、キプロス情勢およびそれを取り巻く国際情勢が変動し続ける中で議論や交渉をしていただくことになる。

 その後、トルコ系共同体は、キプロス独立時の介入権を保障国3か国(ギリシャ、トルコ、英国)に認めた、保障条約の締約国のうち英国およびトルコに対し行動を要請し、実際にトルコはキプロスへの進攻を決定するなど、ギリシャとトルコの間での全面戦争の危機にまで陥る。クーデター発生から1週間後の7月22日には停戦が発効したものの、なおも緊張状態が続いた。トルコ軍はキプロス島の3%強を占領していたが、和平交渉が決裂すると、8月14日、大規模な戦闘行為を開始し、島の34%あまりを占領するに至った。この進攻により、キプロスではギリシャ系、トルコ系双方に難民が発生した他、トルコ系の支配する北部とギリシャ系の支配する南部での分断が現在もなお続いている。

 ただし、上記の流れはあくまでも史実のものであり、当会議はクライシス会議であること、またそれに伴って情勢が刻一刻と変化するため、必ずともこのような軌跡をたどるとは限らない。

 クーデター発生後からトルコによる進攻までの間は民族問題や外国による干渉の有無、発生したクーデターと政権の正当性に関して、そしてトルコが介入した後はその侵攻をどう扱うのかが議論の中心となっていくことだろう。

フロント

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会議監督

木村駿太|立命館大学政策科学部3年|京都研究会|老メン

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議長

向後大翔|神戸大学大学院国際協力研究科博士前期課程2年|国立研究会|超神メン

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会議行動執行官

大倉幸章|金沢大学人文学部3年|北陸支部|老メン

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会議行動執行官

七戸純|一橋大学経済学部4年|国立研究会|老メン

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会議行動執行官

福永望|京都府立医科大学医学部3年|京都研究会|老メン

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報道官

稲川翔子|上智大学総合グローバル学部3年|四ツ谷研究会|老メン

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秘書官

大竹正悟|慶應義塾大学法学部2年|日吉研究会|旧メン

会議詳細

議題
キプロス情勢
The situation in Cyprus

設定議場
国際連合安全保障理事会 第1781回会合 他

実際の成果文書
S/RES/353 (1974)・S/RES/354 (1974)・S/RES/355 (1974) など

設定日時
1974年7月16日〜
終了日は情勢により変動

使用言語
公式討議:日本語
非公式討議:日本語
成果文書:日本語

事前交渉・事前会合
なし

募集人数
41人

κρίσις

 この会議のコンセプトはギリシャ語であり、「krísis: クリーシス」と読む。読みから想像がつく方もおられるかもしれないが英語の「crisis」の語源である。「危機」という英語と同じ意味の他に「決定」という意味ももっている。

 一般的な会議の結果は、基本的に会議の最後の時に決議等が採択された(もしくはされない)あとにわかることが多い。しかし、実際の社会は本来的には続いていくものであり、好む、好まざるに関係なく現実が突きつけられることとなる。当会議において採用しているクライシス会議の性質は、実際に各デリや議場として出した決議や行動がその会議中に返ってくることが多く、これに対してさらなる動きかたを考えて行動していく。この動きに対しての反応は必ずしも好意的とは限らないものである。そうであったとしても、またそれらに対して何が有効なのかを考えて実施するというサイクルを繰り返し、適宜実行することが求められる。まさしく「危機」と「決定」によって構成されているのがクライシス会議の醍醐味の一つである。
 私たちとしてはこれらのことを通して結果を常に意識するということ、そして自国または議場の動きがどのように行動するべきなのかを適宜見直し続けることをしていただきたいと考え、「危機」と「決定」両方の意味を持ち、かつクライシス会議という当会議の特性も併せ持つ「κρίσις」とした。

 当会議は主に2つの特徴を有している。第一の特徴はクライシス会議であること、そして第二の特徴が、議場として国連安全保障理事会の他に、並行して自由交渉を安保理外で行うことができる議場が設置されることである。
 クライシス会議とは、会議中に会議設定上の時間が進行し、また、情勢が変化する会議のことである。会議中には、情勢の変化をふまえ、議論・交渉を行い、多くの場合には成果文書の採択を目指すだけでなく、各国の大使団が、単独または他国と共同して軍事や外交上の行動を行う。会議中、各国の大使団が下した決定(コマンド)が、情勢に反映され、情勢は変動し続けることになる。このような情勢変化を繰り返しながら、議論・交渉を重ね、各々の国益達成のために各国の大使団は行動していくことになる。

 議場については、安保理を基本とするものの、並行して自由交渉が可能な議場が設置される。この議場は、当事国間での交渉の他、通常安保理の審議中にも行われているはずである各国の裏交渉を任意に模擬できるようにするために導入する。

 当会議には安保理理事国の15か国の他、当事国として、キプロス、ギリシャ、トルコの代表がオブザーバーとして参加する。ただし、ギリシャ代表についてはフロントが担当するため、募集は行わない。

<安保理常任理事国:トリデリ(3人1組)での参加>
・China
・France
・Union of Soviet Socialist Republics
・United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
・United States of America

<安保理非常任理事国:ペアデリ(2人1組)での参加>
・Australia
・Austria
・Byelorussian Soviet Socialist Republic
・Costa Rica
・Indonesia
・Iraq
・Kenya
・Mauritania
・Peru
・United Republic of Cameroon

<当事国:トリデリ(3人1組)での参加>
*いずれも安保理における投票権をもたない
・Cyprus
・Turkey

 アプライ時は、ペアデリないしトリデリでの応募を優先する。また、USSR,UK,USA,Cyprus,Turkey以外のトリデリ国はトリデリを組むことを推奨するが、ペアによるアプライも可能とする。ただし、これら以外のトリデリ国もトリデリを優先するもののアプライ数が規定を満たしていなかった場合などにおいてペアデリでも希望が可能となる場合がある。
 ペアないしトリオを組む相手が見つからない場合、フロントまでメール(cyprus.kmunc23@gmail.com)または各種SNSを通じて気軽に連絡・相談していただきたい。また、アプライ終了後にはシングルでの応募者に対するマッチングを実施する場合がある。

 皆さん、こんにちは。京都研究会老メンの木村駿太です。

 1974年、ギリシャの関与とキプロス内部の分子がクーデターを実行、さらにトルコの軍事干渉を招いたことで、キプロス島は事実上、二つの地区に分割されました。

 現在もこれらの地区は国連のグリーンラインで分断されており、いまだ解決の緒をつかめていません。

 当会議は実際にキプロスで史実と同様に危機が発生し、デリの皆さんはその対応を繰り返すこととなります。そのため、全員が実際の国際情勢を緊張感を持って模擬することになるでしょう。

 キプロス問題は簡単に解決できるものではなく、したがって、様々なレイヤーの議論が行われることになります。

 あなたは、1974年の情勢変化を発端に各国家の国益を背負って、会議に参加します。

 当日どのように動くのか、その結果、最後にどのような世界に至っているのか。常に会議のその後にも考えを及ばせた上で、最適解を選ぶことになります。

 会議を踏まえて、皆さんにとっての何かを得てもらえることを願っています。

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