第24回模擬国連会議関西大会

植民地独立付与宣言

議題・論点解説

 当会議の議題である『植民地独立付与宣言』の議論が国連で行われたのは1960年。アフリカから17カ国の新国家が誕生し、アフリカの年と言われた年です。
 19世紀における欧州列強による帝国主義政策の結果、アジア・アフリカなどに数多くの植民地が誕生しました。それは国際連合成立後においても、信託統治制度や非自治地域制度のもとで国際法上の制度として公然と残されていました。
 しかし植民地制度への非難は20世紀以降高まりを見せました。戦前にはアメリカ大統領ウィルソンによる14カ条の平和原則、レーニンによる平和に関する布告の中で、反植民地主義が叫ばれました。そしてそれらの中では、宗主国からの独立を正当化する根拠として自決権の存在が語られていました。その後、この自決権という概念は、国連憲章においては国連の基本原則の一つとなるまでに発展します。
 そして1960年の国連総会。ソ連は一つの決議案を出します。その内容は植民地制度を痛烈に非難し、自決権を国際法上の権利とした上で、植民地の独立を求めるものでした。この会議はこの決議案の提出を契機として、抵抗する西側諸国、強い文言を推す強硬な一部AA諸国と東側諸国、妥協点を探る穏健なAA諸国という、各国の思惑がぶつかり合いながら展開していきます。
 史実においては、穏健AAが提出した決議案がコンセンサスで採択され、自決権概念を発展させ、植民地独立を促進させる契機となりました。

主な論点は次の通りです。

➀自決権の性質
 国連憲章において、自決は国連の基本原則の一つとされました。しかしソ連やAA諸国は国際法上の権利であると主張しており、植民地独立の法的な根拠としようとしていました。これに対して、西側諸国は、自決は法的な権利ではなく、あくまで原則の一つであると主張しました。この会議ではこのような自決権の国際法上の性質や、その主体、自決権によって認められる具体的な権利とは何かについて話し合います。

②独立の形態及び即時性
 そもそも植民地の独立とは何かについて話し合います。西側は独立後も一定程度植民地に対して影響力を保持したいがために、軍隊の駐留等を行っていました。しかしこれに対して東側諸国は真の独立ではないと反発しています。独立の定義が双方で合意がない中、何を以て独立とするのか、そして独立は即時的に達成されなければならないのかについて議論します。

フロント

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会議監督

今村早也香|早稲田大学文化構想学部3年|早稲田研究会|老メン

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会議監督

石田貴也|一橋大学社会学部3年|国立研究会|老メン

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議長

出口啓貴|早稲田大学政治経済学部3年|早稲田研究会|老メン

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議長

國分理桜|立命館大学文学部4年|京都研究会|神メン

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秘書官​

渡辺歩夏|学習院女子大学国際文化交流学部4年|早稲田研究会|老メン

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秘書官​

桒山陸|早稲田大学政治経済学部2年|早稲田研究会|旧メン

会議詳細

議題
植民地諸国・諸国民に対する独立付与に関する宣言
Declaration on the Granting of Independence to Colonial Countries and People

設定議場
第15回国際連合総会

実際の成果文書
A/RES/1514(XV)

設定日時
1960年11月28日~1960年12月14日

使用言語
公式討議:日本語・国連公用語
非公式討議:日本語
成果文書:日本語(一部英語併記可)

事前交渉・事前会合
なし

募集人数
44人

・→ー
~Connecting the Dots~

 我々がコンセプトに込めている意味は「点から線へ」です。そしてそこには2つの意味が込められています。

 一つ目は、会議の中での「点から線へ」です。
 模擬国連はBGが配られてから会議終了まで、様々なパートに分けられます。大きく分ければ、リサーチと会議本番、細かく分ければ、リサーチの中に議題理解や国益設定、会議本番の中にインフォーマルやコーカスといったように分けることが出来ます。さらにそれら各パートをさらに細分化することも出来るでしょう。
 しかし、これらのパートはそれぞれが独立しているのではありません。それぞれのパートは他のパートと繋がっているはずです。そしてそれらは究極的には「国益達成」という目標へと繋がっていると思います。我々の会議では、それぞれのパート同士の繋がりを意識し、BG配布という「スタート」から会議終了という「ゴール」までを、「国益達成」という目的意識を基に、一貫性のある準備と会議行動を皆さんにしてほしいと考えています。

 二つ目は世界史の中での「点から線へ」です。
 模擬国連においては、会議一つ一つは独立しています。しかし実際はそうではありません。一つ一つの会議は歴史という線の中の点なのです。会議に臨むにあたって、参加者にはこのことを念頭においてほしいと思います。ここまでにどのような議論が積み重ねられているのか、そしてこの会議の結果が未来に対してどのような影響を与えるのかということをしっかり意識していただきたいです。会議の外に「過去」と「未来」があり、会議がそれを繋げているということを忘れずに会議に臨んでほしいと思います。
 会議の中での連続性、そして会議の外にある断続性、その両方を意識して参加者には会議に参加してほしいと思っています。

 最後に副題である「Connecting the Dots」という言葉についてです。これはアップルの創業者であるスティーブ・ジョブズが残した言葉です。ジョブズはこの言葉に、チャレンジしてほしい!という意味を込めました。一人一人のデリが自発的にチャレンジしていく、そんな会議になればと思い、この言葉を副題に据えました。

 当会議では「・→ ―」を一人一人のデリが達成できるように、次のような特徴を備えています。

➀難しすぎない議題
 当会議の議題は、議題理解が比較的容易であることが特徴です。当会議では当日の会議における動きを重視しているため、議題理解に必要以上に時間がかかりすぎないものを議題として選んでいます。また資料も豊富に存在する議題であるため、資料探しに必要以上に苦労することはありません。ただしこれは決して単純な議題であるというわけではなく、対立軸や使えるロジックに関しては、デリが戦略をしっかりと組むことが出来るほどの多様さを確保しています。

②国益の明確性、死活性
 全ての国が明確かつ死活的な国益を有していることも特徴です。国益が明確であるため、自国理解や国益設定に時間がかかりすぎず会議当日の行動設計にかけられる時間が多くなります。また国益の死活性が故に、デリ自身で積極的に行動していく必要があります。

③少人数議場
 当会議では参加者を二つの議場に分けたうえで、それぞれの議場で全く同じ設定で会議を行います。一議場あたりの国数は15~22カ国を予定しており、それぞれの国は原則としてシングルデリの予定です。これは一人一人のデリが自分自身で見つけた指針の下で、会議当日自発的に行動していくことが出来るようにするためです。

④フロントTT論点による議論
 会議当日はフロントTT及び論点に沿って議論を行います。全てのデリがどのような議論が行われるか共通の認識を持ったうえでの、じっくりとしたインフォーマルを行うことが出来ます。そしてそこで積み上げられた成果をもとに、コーカスを切り開いていただきます。

⑤手厚いサポート
 当会議では一人一人のデリに対して手厚いサポートをしていく予定です。フロント全員が一人一人のデリと向き合い、目指すべきゴールに向けて共に歩んでいきます。経験豊富なフロントがこれまでのデリとしての経験やフロントとしての経験をもとに、その時々でデリに対して必要なサポートを行っていきます。

Argentina, Cameroon, Ceylon, France, Ghana, India, Indonesia, Ivory Coast, Japan, Morocco, Niger, Poland, Portugal, Romania, Senegal, Tunisia, Union of South Africa, Union of Soviet Socialist Republic, United Arab Republic, United Kingdom, United States of America, Yugoslavia

*計22か国×2議場

 みなさんはじめまして。当会議で会議監督を務めます、早稲田研究会老メンの今村早也香です。
 さて、我々のコンセプトは「・→ − Connecting the Dots」です。ご覧になった方は、「え、記号!?どういう意味やねん笑」と思った方も多いかと思います。一見ただの記号の集合体でしかありませんが、実は深い意味が込められています。詳細はコンセプトの欄を見ていただければと思いますが、私達が目指す会議を端的に示すとすれば「点と点を線でつなぐ目的意識を持った会議」であると言えます。大学生活の2年間、デリとしてフロントとして模擬国連に向き合い、目的意識を持った会議行動はどの会議にも共通し、メン齢に限らず、課題であると感じました。また、このコンセプトの意味や意義を会議当日まで声を大にして言うフロントも自信を持ってできるかと問われれば、返答に窮するでしょう。目的意識を持った会議行動の実践は決して容易いものではありません。と同時にもぎこっかーとして成長し、スキルを磨くには「目的意識を持つ」ことはなくてはならない要素であると感じます。
 といった感じで会議やコンセプトに込めた思いを語りましたが、みなさんとりあえず関西大会に参加してみましょう!お金と時間がかかり、初心者ということで一歩を踏み出せない方もいるかと思いますが、興味があれば出てみましょう。所属する研究会や支部以外の多くのもぎこっかーと出会い、新しい知見を得る刺激的な大会になると思います。私たちの会議は、模擬国連を頑張りたい人、一皮むけたい人を諸手を挙げて歓迎します。私が本会議参加者に求めるのは、会議当日を見据えた戦略の準備までやり切り、当日貪欲に国益を求める気概です!アツアツな夏を当会議で過ごしましょう!お待ちしています!

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こんにちは。会議監督の一橋大学3年、国立研究会老メンの石田貴也と申します。

 模擬国連という活動を続けて早2年近くなるわけですが、この「植民地独立付与宣言」は私の大学模擬国連の初議題です。当時、模擬国連の基本的なルールしか分からなかった自分は、先輩方などが繰り広げる議論にただ圧倒されたことを覚えています。
それから2年経った今、あの会議で見た理想の姿と自分は未だ程遠いとはいえ、この議題を関西大会で行えることを非常にうれしく思っています。

 模擬国連というものを2年程やっていると、なぜこのようなことをやっているのだろうという疑問が浮かんでくるものです。正直に申し上げるならば、模擬国連を探求し続け、昔の侍のごとくその道を追求する人もいれば、よくわからないが楽しそうというようなライト層もいます。このように、参加する人の側面や目標は人によるにせよ、模擬国連は「学ぶ」ところであるということは私を含めこの会議が大切にしているところです。もちろんそれは、会議における知識(この会議でいえば人権・植民地等でしょうか?)の事もさすでしょう。それと同時に、知識だけでなく目標に向かって思考する方法もその対象であることに間違いはなく、実行に移す他人の姿勢から学ぶ(まねぶ)ものもその中に入るでしょう。加えて我々が想像もしていないケミストリーが起こりえるかもしれませんね?

関西大会という素晴らしい場をこれらの「学ぶ」経験ができるような場所にしていきたいと思っております。結果や目標を持ち、たくさんフロントと考え、挑戦し、学んでいく場にしましょう!1年に1回の関西大会、皆様と神戸でお会いできることをぜひともお待ちしています!

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