第24回模擬国連会議関西大会

宇宙空間における軍備競争の防止(PAROS)

議題・論点解説

 本議題は2020年国連総会第1委員会75会期における「宇宙空間における軍備競争の防止」、通称PAROSに関わる諸議論です。現代社会で、宇宙という舞台が各国の軍事政策にとって重要な役割を担っていることは明らかです。また、時代が進み技術が進歩を遂げたことで種々の問題も現れてきました。例えば、多数の衛星の打ち上げなどにより大量のスペースデブリが発生しました。民間技術が簡単に軍事転用できてしまい、平和的な利用と軍拡の境目が曖昧であるという問題も発生しています。このような問題に対処するために国際社会はなんらかの手立てを打つ必要性を認識するようになりますが、絡み合う思惑と各国のスタンスの違いにより、PAROS議論は停滞しているといえます。そのような状況をいかに打破し、今後の宇宙安全保障を担保していくかをデリの皆様には議論していただきたいと考えております。本設定年度において史実では、2020年までに採択された4つの決議が再度確認され、1つの新規決議が新たに採択されました。

 宇宙利用状況、現状の宇宙安全保障秩序、これから先どんな国際宇宙秩序の中で発展していきたいかなどを踏まえ、以下に代表される争点について考えてもらう会議設計になっています。

1. 既存の宇宙関連国際法規範の解釈
 現在宇宙に関連する条約は宇宙条約をはじめとして5つあります。既存宇宙国際法はたびたび欠陥が指摘されます。そのような条約の原則や詳細をどのように解釈し、現状に当てはめるのか、いわゆる「宇宙の憲法」をどのように認識しているのかという部分が争点になります。

2. 宇宙空間における規範形成
 今回の設定年度では、英国が主導し日本などを含めた22カ国によって提出された「宇宙空間における責任ある行動」決議が新たに採択されました。規範の内容だけでなく、「責任」の内容に関しても議論がなされる可能性があります。ただし、この規範そのものを不都合だと考える、つまりソフトローではなく、ハードローの作成により宇宙安全保障を担保したいと思っている国も存在します。

3. 各論的な議論
①透明性・信頼醸成措置、②スペースデブリ、③ASAT(対人工衛星)兵器、④宇宙の民生利用などなど多数の各論的な議論が存在します。話したいポイント、なるべく触れたくないもの、各国の思惑が議論議論からぶつかり合う展開が想定されます。

フロント

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会議監督

杉田悠水|大阪大学法学部3年|神戸研究会|老メン

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副会議監督

高原茉亜子|早稲田大学政治経済学部3年|早稲田研究会|老メン

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議長

四宮実彩|お茶の水女子大学文教育学部3年|駒場研究会|老メン

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秘書官

福田剛|横浜市立大学国際商学部4年|日吉研究会|神メン

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秘書官

白澤里菜|同志社大学経済学部2年|京都研究会|旧メン

会議詳細

議題
宇宙空間における軍備競争の防止
Prevention of an Arms Race in Outer Space

設定議場
第75回国際連合総会 第1委員会

実際の成果文書
A/C.1/75/L.3「宇宙空間での軍備競争の防止」(途上国)
A/C.1/75/L.45/Rev.1「宇宙空間における責任ある行動」(イギリス)
A/C.1/75/L.62「宇宙空間への武器の最初の配置の禁止」(ロシア)
A/C.1/75/L.63「宇宙空間での軍備競争を防止するためのさらなる実際的な措置」(ロシア)
A/C.1/75/L.66「宇宙空間における透明性と信頼醸成措置」(ロシア)

設定日時
2020年10月6日〜2020年11月10日

使用言語
公式討議:日本語
非公式討議:日本語
成果文書:日本語

事前交渉
日時:8月17日(木)9:00〜8月19日(土)10:00
使用媒体:Discord

事前会合
日時:8月18日(金)または8月19日(土)12:30〜19:00(参加申込時点でアンケートをとり決定)
使用媒体:ZOOM

募集人数
35人

The farther backward you can look, the farther forward you are likely to see

 今会議のコンセプトは「本当に自分は模擬国連というコンテンツを楽しみきれているのか」という問いから始まっています。多くの人がこの問題にぶち当たり、もやもやしているでしょう。この問いに対してフロントが出した答えは、「基礎力」を持つことです。「基礎力」とは国益設定から当日の会議行動までを一貫した思考を持って行える力のことです。今会議では、皆さんに「基礎力」を身につけてもらい、模擬国連を楽しんでもらいたいと考えています。

 会議コンセプトは「深く振り返ることで、明確かつ長期的に先が見通せる」というチャーチルの言葉です。「基礎力」をつけるためには、内省の繰り返しによる進歩が必要だと考えています。過去に参加した模擬国連を深く振り返り、内省することで自身の模擬国連への向き合い方、そして課題が浮き彫りになります。その課題に効果的にアプローチすることで模擬国連の本質理解に近づき、よりさまざまなポイントに戦略的意図を込められるようになったり、各フェーズにおける手段を複数知ることができるようになったりするでしょう。すなわちそれが、ゲームとしての模擬国連を深く楽しむことを意味するのではないでしょうか。また、時代を超えて議場を俯瞰し、会議後の影響を考えることも重要だと考えています。今回の議題は大きな事件でもなければ、大きな転換点を切り取って取り上げたものというわけでもありません。むしろ停滞している議論にどのようなスパイスを加え、未来の自国の行動にどのような選択肢を与えるかまでを考慮に入れた、つまり究極に先を見通した交渉を行うことが期待されます。自国の現状並びにこれまでの主張と、ここまでの国際場裡での議論を分析することで何歩も先を見通した会議行動をすることで論理的に一貫した思考が意識されると考えています。

 模擬国連を楽しむためには、会議準備から会議当日まで論理的に一貫した思考で行える力、すなわち「基礎力」をつけることが大事です。この「基礎力」を身につけるためには、これまで参加した模擬国連を深く振り返り、課題を見つけ改善していくことと会議全体を多角的な視野でみることが必要だと考えています。今会議に全力で挑む経験をした先には、本当の模擬国連の面白さに、程度の如何こそあれ、触れたあなたがいるはずです。

 本会議は、我々のコンセプトに照らし、非常にシンプルかつオーソドックスな模擬国連のスタイルになっています。そのため、コンセプト説明でも述べているような「基礎力」というものが徹底的に試される形となっています。そのような単純な設計の中で、定石をいかに覆し、自身の戦略を論理的に構築するかをデリの皆様には模索していただきたいと思います。今会議は、ここまでも触れているように発散した議論が停滞している状況を切り取っており、その停滞を打破する方向性を模索している最中です。そのため、史実や定石に囚われることなく、宇宙安全保障について各国が求めるものの追求に全力を注ぎ、頭を柔軟に戦略をたて、会議に挑んで欲しいと思っています。複雑かつ扱う論点が広範な議題の性質上、胆力は要求されると思います。しかし、その先にある楽しさと成長をお約束しますので、是非アプライをお待ちしております。

Algeria, Australia, Brazil, Canada, China, Costa Rica, Democratic People’s Republic of Korea, Djibouti, Egypt, France, Germany, India, Indonesia, Iran, Israel, Japan, Kenya, Luxembourg, Mexico, Nigeria, Norway, Pakistan, Philippine, Peru, Republic of Korea, Russian Federation, Saudi Arabia, South Africa, Sweden, Switzerland, Syria, Thailand, Turkey, United Arab Emirates, United Kingdom, United States of America, Venezuela

*アプライ数によりペアの可否判断、並びに国割を変更する可能性があります

 初めまして、神戸研老メンの杉田悠水です。ディレク経験はおろか、フロント経験さえまともに無い私が全国大会のディレクなど務まるものかと恐縮しておりますが、それぞれ違う研究会から集結してくれたパワフルなフロント陣とともに、参加してくださる皆様が楽しめるような会議を作り上げていく所存ですのでどうぞよろしくお願いします。

 皆さんはなぜ学生生活の貴重な時間を費やして模擬国連を行うのでしょうか。あまりある学生生活の暇つぶし、知識欲・学術欲、はたまた修行。その問いに対する回答は私もまだ明確に出ていません。その答えの一端を見つけるためにも、ディレクという方法を取ったような気もしています。なぜ模擬国連がここまで多くの人を魅了し、何十年もの間、夢中にさせてきたのか。模擬国連の楽しさとは何であるのか。まさに今回の議題の舞台である広い「宇宙」と同じく、まだ知らない未知の領域があるのだと思っています。

 私は昨今騒がれる「模擬国連が衰退してきている」という言説が正しいのかどうかは、昔の模擬国連を知らない身ですから、正直よくわかりません。そうなのかもしれませんし、意外とそうでない気もしています。ただし、本当に心から楽しいと思えぬまま続けている人というのは常にどの時代にもいるのだと思います。そのような人たちが少しでも「模擬国連を楽しみきる」という経験を積むことで、模擬国連は活発化するのではないでしょうか。

 今会議のコンセプトは、模擬国連の魅力とは何か、模擬国連を本当に楽しむためにどうしたら良いかをフロント内でじっくりと議論を重ねた結果、導き出されたものです。会議参加者の皆さんには模擬国連に向き合ってもらい、模擬国連を純粋に楽しんで欲しいと考えています。

 私は、抜群のカリスマ性があるわけでもなく、全国大会でディレクをやるような人間の中ではずば抜けて「凡人」であるという自覚があります。ただ、皆様とともに模擬国連を心から楽しみきるという試みに誰よりも真摯に向き合いたいと思っています。最後になりますが関西大会の企画運営に携わり、ディレクという大役を任せていただいた、事務局員をはじめ多くの皆様、そしてこの挨拶を最後まで読んでくださった皆様に、この場を借りて、厚く御礼申し上げます、ありがとうございます。それでは8月、アツい神戸の地で皆様と会えることを心待ちにしています!

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