第24回模擬国連会議関西大会

武器貿易条約

議題・論点解説

 冷戦終結後、米ソ対立は終わりを告げ、国際社会はパラダイムシフトを迎えた。ルワンダや旧ユーゴでの文民の大虐殺、ソ連崩壊後の東欧の混乱、テロ組織の台頭。そのような中、通常兵器は国連などの場で「事実上の大量破壊兵器」とも呼ばれ、その不正使用による人的被害や持続可能な開発への悪影響などから、規制のための国際合意が進められていった。

 武器貿易条約(ATT)は2013年、国連総会にて採択された、包括的に通常兵器の国際移転を禁止/規制する条約である。一方、これは輸入国への武器移転のコントロールをも意味し、輸出入国の安全保障や政治的思惑がぶつかり合った。

 史実では、2006年から議論が開始され、4度の準備委員会を経て、本会議の前年の2012年、ATT採択に向けて7月会議が開催されたものの、熾烈な交渉の末、米国の裏切り行為もあり、会議は決裂。ATTに関する『最終国連会議』と銘打った本会議では、文字通り、なんとしても条約案を通そうと推進派は激しく交渉をかけたものの交渉は難航。最終的に史実では多くの反対国・棄権国がいる中可決されたため、条約採択と引き換えに効力の普遍性は損なわれた。

 史実では、このように必ずしも成功したとはいえないが、本会議ではいかなる結末を迎えるのか。参加者には『最終会議』の名の下、落とすか落とさないかの瀬戸際でのスリル感のある議論や交渉を味わって頂く。

 主な論点は次の通りである。

①武器移転基準としての国際人道法

 文民に危害を加えるような戦争犯罪に関わる時、武器移転が禁止されるべきだという考えは概ね合意されていた。しかしながら、そもそも「戦争犯罪」を定義すべきか、ATTにおいて適用される戦争犯罪の射程、慣習国際法の戦争犯罪を適用すべきかなどは各国によって意見が分かれ、史実でも様々な文言修正案が提案された。

②非国家主体に対する武器移転規制

 非国家主体に対しての武器移転を規制すべきか否かは史実でもかなり白熱した。冷戦後、途上国で内戦が頻発する中、「人間の安全保障」を名目に、開発・援助を妨げる政府に対抗する反体制派勢力に武器移転が行われることが正当だという主張が現れた。一方、国内情勢に対する内政干渉だと途上国や新興国の一部は猛反発した。

③情報における締約国の権利・義務

武器移転を認めるか否かの判断をする際には、「輸入国の武器の使用目的」「輸出国の武器移転の判断理由」など、輸出入国どちらも情報の権利や義務を有しており、この点も史実では大きな争点となった。輸出入国の権利を「平等」にすべきか「公平」にすべきかの議論をはじめとして、各国の利害が激しくぶつかり合うだろう。

フロント

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会議監督

日下剛志|大阪大学法学部3年|神戸研究会|老メン

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議長

水越萌巴|横浜国立大学経営学部3年|日吉研究会|老メン

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秘書官

野口淳平|立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部3年|九州支部|老メン

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秘書官

栗林孝匠|上智大学総合グローバル学部3年|四ツ谷研究会|老メン

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秘書官

吉岡隼哉|上智大学経済学部3年|四ツ谷研究会|老メン

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秘書官

上田真菜|上智大学法学部3年|四ツ谷研究会|老メン

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秘書官

櫻井千洋|東京外国語大学国際社会学部2年|国立研究会|旧メン

会議詳細

議題
武器貿易条約

設定議場
ATTに関する最終会議

設定日時
2013年3月18日〜28日

使用言語
公式討議:日本語
非公式討議:日本語
成果文書:日本語(一部英語併記)

募集人数
35人程度

『The 3R for your MUN』

  3Rと聞くと、環境の話でよく聞く『Reuse、Reduce、Recycle』を思い浮かべる人は多いだろう。環境省によると、「持続可能な未来」の実現のために3Rは積極的に進められている。それでは、「持続可能な模擬国連」のための『3R』とは一体何なのだろうか。

 この3Rを私は、
  1. Recognizing the enjoyment 
  2. Reaffirming the passion 
  3. Respects comMUNity
 であると定義する。

  まず一つ目の「Recognizing the enjoyment」について、これは各々の参加者の多様な模擬国連の楽しさを実感して欲しいという思いを込めている。

  二つ目に、「Reaffirming the passion」であるが、これは模擬国連へのパッションを発見・再確認してほしいという思いを込めている。模擬国連をやっていると、その大変さから辛いと感じることも多いだろう。そこで、熱意を持って関西大会に取り組み、自身の模擬国連の価値を再確認して欲しい

  三つ目に、「Respects comMUNity」についてだが、ここには二つの意味が込められている。

  一つ目の意味は、「コミュニティとしての模擬国連をRespectしてほしい」というものである。関西大会を通して得た交友関係は、今後の模擬国連人生にとっても非常に意義深いものである。それ故に会議内外のコミュニティを大切にし、楽しんで欲しい。 

  二つ目の意味は、com+MUNの部分に込めた。ここでいうMUNとは、自らの模擬国連(観)であり、他者の模擬国連(観)でもある。そして英語の接頭辞 “com-”には、「共に」「完全に」という意味がある。ここから、他者の模擬国連観を「完全に」尊重し深め合うと「共に」、自己の模擬国連観をアップデートして欲しいという願いも含めている。

  模擬国連が「楽しい」からこそ、「パッション」が生まれ、「パッション」を持って取り組むからこそ、更に「楽しく」なる3つの相互作用を実感して欲しいと考えている。

  私は本コンセプトに掲げた3つのR全てを実践することで、持続可能な模擬国連が実現するのではないかと考え、参加者各々がこの3Rを実践できるよう、本会議では様々な企画や仕掛けを用意している。

  模擬国連を続けるにあたって大事な時期である8月の関西大会であるからこそ、「Enjoyment・Passion・comMUNity」の3つをそれぞれの参加者が見出すことで、模擬国連を続けるきっかけにしていきたい。

・国益の多様さ・死活性

 本会議は、条約作成へのインセンティブだけで、積極派、妥協派、慎重派、反対派と4つに分かれ、更にグループ内でも各論点で国益にグラデーションが存在する。また、今回の会議が本条約の「最終会議」として位置付けられており、どんな内容で条約を採択するか否かが決まってくる為にいずれの国も死活的な国益を有している。それ故に、それぞれが積極的に動く必要があり、多様な戦略を組むことができる。

 

・簡単すぎず、難しすぎない会議難易度

 内容が分からずに終わることがないよう、かつ充実した議論ができるような論点を設定した為、どの参加者にとっても達成感を得られるものとなっている。そして、フロントと一緒に噛み砕いていく中で、会議経験の少ない参加者も楽しめるようにしている。 

 

・デリの楽しさを見出すための3種類の勉強会

 議題理解を促す為の解説型勉強会だけでなく、デリ間相互討論型勉強会を予定している。議題論点に関連するテーマについて国でなく、参加者各々の視点から議論し合うことで、国際問題を多角的に考え、勉強会やリサーチでは気付かなかった新たな視点を得ることができる。また、任意のグーグルフォームによる議題理解度チェックテストを用意し、勉強会のアフターケアとしての役割を果たしつつ、メンターとは別で隙間時間で気軽に議題理解や国際法理解ができるようにしている。

 

・分からないをなくす、それぞれの段階に合わせたタスク・BG

 参加者の理解度を向上させるために数種類のタスクを用意し、参加者に合った会議準備ができるようになっている。また、BGを必須情報を纏めた第一部とリサーチを深めるにあたって活かせる第二部の2部構成にし、情報の発散を防ぎ、分かりやすく会議準備ができるようにしている。

 

・関西大会や模擬国連を最高に楽しんでいくためのメンター

 本会議では次のようなメンターを予定している。

①通常メンター

 参加者の達成したい事、やりたい事を最大限実現できるように、国割メンター、会議メンター、レビューメンターの流れを重視し、参加者一人一人に合わせたメンターを実施していく。

②もぎそう(模擬国連相談室)

 会議関係なく模擬国連などをフロントと語り合う場所を設けることで、模擬国連との関わり方を見つめ直したり、パッションを持つきっかけを作ることを目的としている。

 

 その他、チェア講や会議レビュー後、デリ間交流会を設けることで学年関係なく、繋がりを深めるきっかけを作っていきたいと考えている。

Coming soon (後日公開)

 皆さん、こんにちは!本会議で会議監督を務めます、神戸研老メンの日下剛志です。

 新メンにとっては初めての全国大会、旧メンにとっては運営代初めての全国大会(?)、老以上の皆様にとっては…私にはまだ見ぬ景色が広がっていることでしょう。

 自分にとっての過去2度の関西大会は感動の連続でした。そして、なんとなく勉強感覚だった模擬国連にどんどんハマっていくきっかけにもなりました。

 そんな特別な大会だからこそ、参加される皆さんにも、「やっぱ模擬国連って最高だな!」「模擬国連楽しいな」って思ってもらえるよう模擬国連の魅力をぎゅーーっと詰め込んだような、そんな会議を作りたいなという一心で最高のフロントの皆と諸々設計・企画しております!

 まだまだ模擬国連を知りたい、楽しんでいきたいと考えているみんなだけでなく、今はちょっとしんどく感じてるっていうみんなにも全員模擬国連を大好きになってもらうのが自分の目標です。

 コンセプトや会議の特徴を見て、「この会議に出たいな」って思って貰えると会議監督冥利に尽きます。それでは、8月、神戸の地で、過去最高の体験を皆様とできるのを楽しみにしております🌈✨

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