第24回模擬国連会議関西大会

平和維持活動の問題全体に関するあらゆる側面からの包括的な再検討

議題・論点解説

 第2次世界大戦が終結する間際、二度とこのような戦争を起こさせまいと国際連合が創設された。国連は「国際の平和及び安全の維持」のために集団安全保障体制を強化・改善し、出発をしたものの、集団安全保障は機能しなかった。そこで行われた、集団安全保障体制の欠陥を乗り越える試みが国連憲章に明文がない「平和維持活動」である。

 未だ国際秩序が確立しきっておらず、各国・陣営・地域の価値観が色濃く現れる冷戦下1960年代。ソ連やフランス、一部AA等はPKOを合法と見做さず、国連分担金(予算)の拠出を拒否し国連は財政危機に陥ってしまう。これに対しアメリカは合法性を前提に、未払い国へ憲章第19条の投票権の停止を求め、対立は激化する。その結果として1964年の第19回総会は流会に流会を重ね、国連は遂にその機能を果たせなくなってしまった。国連憲章に明文化がされていない、いわば実戦と経験を軸に積みあがってきたPKOの位置づけをめぐり、国際社会は大きく対立した。

 PKOをめぐる対立をきっかけに、各国の求める国際の平和及び安全の維持を主要な目的とする国連のあるべき姿が表出し更なる対立を生んだ。国連が完全に機能不全に陥った1965年。国連の正常化のために今議場であるPKO特別委員会は開かれた。

 PKO特別委員会を設置した総会決議2006(XIX)は、「平和維持活動のあらゆる側面について、現在の機構の財政難を克服する方法を含め、可能な限り早急に包括的な再検討を行うこと」「1965615日までに総会に報告書を提出すること」のみを指示した。 

 この会議では決まった論点はない。デリには、自国の望む国連像に基づいて話すべきことを考えてもらいたい。といいつつも、膨大な論点を自由裁量に、とはいかないので議論の蓄積をベースに想定される論点をいくつか提示したい。

①総会及び安保理の権限

 そもそもPKOは国連憲章に明文化されておらず、各国によってPKOの位置づけは異なる。「平和維持活動に関する権限はどこにあるのか」が大きな論点の一つである。この論点の背景には各国の国際の平和及び安全の維持に対する国連のあり方が存在する。

②国連の財政危機の解消方法

 現在の国連の財政難を克服するための方法について各国から提案が多く寄せられている。現在の国連は財政難に陥った結果、西側先進諸国による自発的な拠出基金に頼っているという現状がある。財政難の解消方法を決定することは国連にとって大きな利益となる。

③国連憲章第19条の適用可能性

 国連憲章第19条には2年間、国連分担金を滞納した国は投票権を失うと書かれている。この上で、ソ連及びフランスの国連分担金未払いをどう扱うべきなのか、が話されている。

 多極の時代とも評される1960年代に、多様な価値観を有する国々によって議論を交わし、一つの国連の再構築を目指していく議題である。

フロント

会議監督

都築克昌|神戸大学工学部3年|神戸研究会|老メン

議長

亀山あぐり|神戸市外国語大学外国語学部2年|神戸研究会|老メン

副会議監督

網倉孝太|早稲田大学商学部3年|早稲田研究会|老メン

副会議監督

矢島大誠|早稲田大学政治経済学部3年|早稲田研究会|老メン

秘書官

君島周|東京大学教養学部文科一類2年|駒場研究会|老メン

会議詳細

議題
平和維持活動の問題全体に関するあらゆる側面からの包括的な再検討

設定議場

平和維持活動特別委員会(Special Committee on Peace-keeping Operations)

第9回会合~第14回会合

設定日時
1965年6月2日~6月15日

使用言語
公式討議:日本語
非公式討議:日本語
成果文書:日本語

募集人数
33名(予定)

原則としてシングルデリ

Intersection


最近の模擬国連のトレンドとして「戦略重視傾向」や「模擬国連の中の事象の思考(インフォーマルの位置づけ・コーカスの戦い方・インフォーマルコーカスの接続等)」といったものがかなり注目を浴びているように感じます。いわば「勝つための模擬国連」というものをベースに思考がなされているのです。勝つための模擬国連を軸に、発散が続く模擬国連を一度新たな方向に収束させるための一石を投じてみようと思ったのが、この会議の始まりです。 

そのためこの会議では、「合意」と「論理」を軸にして模擬国連全体を捉え直します。


私は、模擬国連は議場における論理の形成を行っていると考えています。 外交交渉において圧倒的な勝利は存在しません。多国間における小さな有利を獲得するために、自国の論理を少しでも国際社会に反映させるために交渉をし、自国の価値観を維持・発展させ、国家は現在の立ち位置を築いています。


また模擬国連をするうえでは論理が基軸となるべきであると考えます。自国の論理(価値観や対象のとらえ方、それに基づく行動)が軸となり、その軸をもとに他国の論理を評価し巻き込んでいく。そして議場全体での論理の形成を目指す。立ち位置や価値観の把握、違いを認識してその差を埋めることの積み重ねが議場における論理の形成です。 


地道に小さな有利を目指した交渉を積み重ね、結果としての国際社会・国連の論理の形成ができることが模擬国連の目指すべき像なのではないかと思います。 


この会議がやることはいたってシンプルです。 フロントデリ間で上記の価値観を共有し、一つの模擬国連会議を作り上げようというものです。 そのうえで、一つ新しい形に模擬国連を収束させようと考えています。


Intersectionとは交点・交差点という意味を持ちます。 

  • 様々な道をたどって発散してきた現在の模擬国連を一つの点で収束させてみる 
  • これまで様々な道を歩んできた皆さんがこの会議で共有する価値観を軸に模擬をする
  • 国家によって様々な価値観を有すれど、一つの国連で、一つの論理(解)を作る 
  • この会議の提供する価値観を一つの材料としてこれからの模擬人生へ歩み続けてほしい 

こんな意味を込めています。 


みなさんPKO会議にでて、「模擬国連」に向き合う夏にしませんか

①「合意」と「論理」を軸に模擬国連を捉えなおす

この会議では「合意」と「論理」を軸に模擬国連そのものを見直してみます。

そのためフロントからデリの皆様に「模擬国連とは何か」「模擬国連が目指すべき像」「この「模擬国連」をするために必要な手段」の3つを提示します。フロントが提示した枠に沿って、一緒に模擬国連そのものを考え直してみようという試みです。フロントから考える軸を提示し、その軸にそって模擬国連を考えてみることで模擬国連に対する理解を深めることができます。

 

②「合意」と「論理」を考えるのに適した議題

この会議では、模擬国連に対する問題意識・テーマとの親和性が非常に高い議題を選びました。国連という国際秩序における最も中心的な機構を再構築していく議題であるため、各国の求める国連のあるべき姿やそれに基づく国連がとる手段(各国の論理)というものが色濃く多様に現れます。また国家は多様な価値観を有するけれど、国連はたった一つです。そのため価値観の違いを乗り越えて合意を作る必要があります。このような設計の下で、「合意」と「論理」を軸に模擬国連を捉えなおし、国連の再構築に励んでいただきたいです。

 

③適切なロードマップの設定

上記をただ手放しにやってみましょうとするのではなく、上記を行うために丁寧なロードマップを設置します。模擬国連への準備を受動的にこなすのではなく、能動的に模擬国連への準備を行えるような仕掛けを用意しています。例えば会議準備のために与えられたタスクをただこなすのでなく、この会議では「合意」と「論理」を軸にタスクを作成しており、そのタスクの分析をフロント・デリで丁寧に行っていきます。またBGもただ消費するのでなく、BGの情報を自分で組み立てる、様々な要因をこの議場に結び付けられるようにします。フロント・デリ全体でコンセプトに掲げる事項の達成を目指すために、丁寧なサポートを他にもたくさん用意しています。

Afghanistan・Algeria・Argentina・ Australia,・Austria,・Brazil・Canada, ・Czechoslovakia・El Salvador・Ethiopia・France・Hungary・India・Iraq・Italy・Japan・Mauritania・Mexico・Netherlands・Nigeria・Pakistan・Poland・Romania・Sierra Leone・Spain・Sweden・Thailand・United Arab Republics・Union of Soviet Socialist Republics・United Kingdom・United States・Venezuela・Yugoslavia

※変動する可能性があります。

みなさん初めまして、PKO会議の会議監督を務める神戸研究会老メンの都築克昌です。

 

みなさんに伝えたいことは一つです。「逃げずに向き合う」です。

逃げずに向き合うとは「それっぽくこなすのではなく自分なりに考えて、自分なりの答えを持ってきて、最後までやり切ること。」です。 

 

ただ普通に模擬国連をするだけならそれっぽくこなすことで十分なのかもしれません。しかし記憶に残るような強烈な体験をするためにはそれでは十分ではありません。模擬国連をするならば、関西大会にせっかく出るならばこのような体験をしたほうがいいに決まっています。 

 

模擬国連をこの会議では一方的にこちらから、「逃げずに向き合え!」というのではなくフロント・デリが「一緒に」逃げずに向き合えるような会議をめざしています。そのための仕掛けをたくさん用意しています。

 

逃げずに向き合うために強調したいのが「美しい会議」をつくりあげる、ということです。「美しい会議」とは「国の価値観の違いを把握したうえで、その差を埋めていくことを繰り返して、それの積み重ねとして議場の論理を作る会議」です。

そのために、逃げずに向き合わざるを得ないような「議題」を用意しています。PKO問題をきっかけに国連は完全に機能不全に陥りました。この機能不全を脱し、国連を再興することは全ての国の死活的利益となっています。だからこそ、すべての国の外交官にとってこの会議に「逃げ」は存在しないのです。

 

いろんな思いを心の奥にしまって、目の前の一つの会議に逃げずに向き合ってみませんか?

それでは8月の神戸で皆様に会えるのを楽しみにしています!

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