Menu
NPT –核兵器の不拡散に関する条約の起草-
議題・論点解説
当会議では、核兵器の不拡散に関する条約、通称NPTの起草に関わる議論を扱います。
1960年代半ば、キューバ危機の発生で世界が核戦争勃発の恐怖を実感し、中国が核実験に成功して核兵器のさらなる拡散が現実味を帯びる中、当時の超大国であった米国とソ連は核兵器保有国の増大を阻止するための協議に乗り出しました。米国は65年8月に条約草案を18ヵ国軍縮委員会に提出し、NPT起草に関する実質的な議論を開始させます。
NPTの最大の特徴は、核兵器国と非核兵器国とを区別し、両者に異なる内容の義務を課したことにありました。米ソ主導の条約案では、前者は後者に核兵器を譲渡しない義務を課されるのみであった一方、後者は核兵器の開発、製造、所有を禁止されるなど、核兵器国に非常に有利な内容となっていました。非核兵器国はこれを国家間の不平等を維持・助長するものとして強く批難し、核兵器国に対しさらなる義務を負うよう求めました。そのような背景を踏まえ、本会議では、以下の3つの論点を扱います。
1.核軍縮義務
非核兵器国は核兵器を放棄する義務を負うにもかかわらず、核兵器国には現在保有する核兵器の削減に関するいかなる義務も課せられなかったことから、核軍縮義務の問題は本会議最大の争点となりました。非核兵器国は核兵器国に対し、核軍備競争を停止させ、核軍縮交渉の具体的な進展を生むことを約束するよう強く求めます。それに対し、核兵器国は本条約で核軍縮義務に関する規定を設けることは現実的でないとして、一貫して反対していました。
2.原子力平和利用の促進
本条約で原子力平和利用の発展をどの程度確保するかが争点となりました。一部の非核兵器国は、原子力平和利用に関する情報・技術に多くの国がアクセスできるよう、その国際協力を促進する各国の義務を定めるべきとしましたが、そのような情報・技術の一部には核兵器の開発に直結するものもあり、核不拡散の観点から慎重な姿勢を見せた国もありました。
3.非核兵器国の安全保障
非核兵器国の安全保障をいかに確保するかが話し合われます。非核兵器国は、核武装の権利を放棄することによって、自国の安全保障が脅かされることを最も危惧していました。特に、核兵器国に対しては核兵器の使用またはその威嚇を行わないことを約束するよう求めています。核兵器国は、自衛の権利を根拠にそのような保障を与えることに強い懸念を示していました。
フロント
会議監督
岩切龍太|東京大学後期教養学部3年|駒場研究会|老メン
副会議監督
寺井龍吾|横浜国立大学経営学部3年|日吉研究会|老メン
議長
宮越かの子|上智大学法学部3年|駒場研究会|老メン
秘書官
野村名美|上智大学法学部3年|日吉研究会|老メン
秘書官
新村美月|慶應義塾大学理工学部3年|日吉研究会|老メン
秘書官
貝原健太|横浜国立大学経済学部3年|日吉研究会|老メン
会議詳細
議題
核兵器の不拡散に関する条約の起草
設定議場
18ヵ国軍縮委員会
設定日時
1967年2月21日~1968年3月14日
使用言語
公式討議:日本語
非公式討議:日本語
成果文書:日本語
募集人数
最大25名
シングルデリを原則としていますが、アプライ数の関係上ペアデリとなる場合があります。
論理ある外交
私たちが取り組んでいる模擬国連という活動には、いったいどんな意義があるのでしょうか?「実際の国際会議を模擬しているだけで、本当に自分の役に立っているんだろうか?」「模擬国連は実社会にとってどのような意味があるんだろうか?」と疑問に思ったことはありませんか。
このような素朴な疑問に対しては色々な答えが考えられますが、本会議では、模擬国連という活動を現実の外交との関係からとらえ直しています。
実際の外交の場においては、各国代表の発言は自国の主義・主張の弁明と他国への批難に終始しがちです。喧々諤々の議論が繰り広げられた結果、実質的な合意が生まれないこともしばしばです。そこにおいては、相互理解を目指した意見のやり取りは蔑ろにされ、「対話に基づく合意の形成」はもはや有名無実と化しているように感じます。
私たちは、模擬国連という活動の意義は、このような現実の国際政治のあり様に警鐘を鳴らし、外交のあるべき姿を提示することにあると考えています。それゆえに、「論理ある外交」すなわち「論理に基づく議論のやり取りを通じた合意の形成」を外交のあるべき姿ととらえ、本会議のコンセプトに掲げました。
この会議に参加する皆さんには、自分の発言で他国を説得することにぜひ挑戦してみてほしいと思っています。客観的に見て妥当な論理を使って、筋道立てて発言することで、相手の理性に訴えかけ、相手の妥協を引き出そうとしてみてください。相手に妥協してもらうには、自国の主張をロジックで補強するだけでは不十分で、相手の発言の内容をよく理解し、そこに論理の矛盾や飛躍があれば適切に反論する力が不可欠です。
また、相手から一定の妥当性がある論理が提示された時に、それを受容する姿勢も大切だと考えています。相手からもっともな忠告・反論が提示された時には、自国の主義・主張に固執するのではなく、自国と相手国との論理を調和するような妥協案を提案することが望ましいといえるでしょう。
私たちは、各国がこのような論理に基づく議論のやりとりに取り組むことで、相互理解が促され、一つの合意が形成されていくような会議を目指しています。双方が論理的に相手を説得することを試みれば、自ずと議論が深まっていき、より本質的な合意が生まれます。その時初めて、「論理ある外交」が実現され、国際政治のあるべき姿を提示するという模擬国連の役割が達成されるのではないでしょうか。
①充実した議論
本会議は、3日間じっくり議論をしてみたいという方におすすめです。
会議準備では、メンターや勉強会などを通じて、議論に積極的に参加するための準備を行っていただくことになります。具体的に言うと、争点構造の理解、ロジックの策定、議論想定などです。そちらにできるだけの時間を割いて準備して欲しいため、事前交渉・事前会合は行いません。
会議当日は、論点をフロントから提示するため、全てのデリが議論内容について共通の認識を持った質の高いモデ/インフォーマルを行っていただくことができます。また、デリの皆さんには、進行中の議論にできる限り集中して欲しいため、メモ回しは一部の例外を除いて原則として禁止する予定です。アンモデ/コーカスにおいては、モデ/インフォーマルでの議論を土台にした交渉が行われることを強く求めています。
②より実践的なサポート
争点理解・国益設定を会議準備の基礎としつつ、会議当日の議論で役立つような、より実践的なサポートに重点を置いたメンターを行います。参加者に求めるレベルが高い分、一人一人のデリに向き合いながらフロント陣が手厚くサポートします。何か困ったことがあれば、気軽にメンター担当に聞いてみてくださいね!
③魅力的な議題
NPTには大きく分けて三つの魅力があります。
一つ目は、争点構造が分かりやすく、経験の少ない新旧メンにとっても全体像がつかみやすいことです。膨大な資料を読み込まずとも、また、国際法の専門的な知識を持っていなくとも、議論に積極的に参加することができるでしょう。
二つ目に、国益の明確性です。核不拡散・核軍縮の問題は、各国の安全保障と直結するもので、17ヵ国それぞれに確固たる国益があります。フロントもそれに沿って戦略策定をサポートしていくので、「国益を見つけるのが難しい…」と感じている方でも、会議当日し活躍することができます。
三つ目に、議題の現在とのつながりです。NPTは現在でも再検討会議が5年ごとに開催されていますが、本質的な部分での各国の論争は今だに続いています。本会議では、そのような現在行われている議論の根幹の構造を話し合っていきます。まさに、50年以上続く軍縮体制のあり方を問い直していくような会議です。
④一人一人が会議に貢献できる会議設計
本会議は、1議場・17ヵ国・最大参加者数25人と比較的小規模な会議となっており、一人一人のデリが議論に積極的に関与することができます。また、参加国の国益はどれも明確で、それぞれの国の会議行動にスポットライトが当たるような会議となっています。3日間しっかりと議論にコミットできますから、関西大会を通じて自身の成長を実感したい方におすすめです。
Brazil・Bulgaria・Burma・Canada・Czechoslovakia・Ethiopia・India・Italy・Mexico・Nigeria・Poland・Romania・Sweden・Union of Soviet Socialist Republics・United Arab Republic・United Kingdom・United States of America
こんにちは、本会議の会議監督を務めます、駒場研究会老メンの岩切龍太といいます。
議論することの面白さっていったい何でしょうか。自分の言いたいことが伝わらなかったり、相手の言いたいことが分からなかったり、かえって対立が深まっちゃったり…失敗が重なって議論することに面白さを見出せなくなった方もいるんじゃないでしょうか。
僕は、自分の言葉で他の人に理解してもらえた瞬間、自分の言葉で相手を説得したことで合意が生まれた瞬間に模擬国連の議論の面白さが詰まっているんじゃないかなと思っています。その面白さを参加者の皆さんにぜひ実感して欲しいと思い、一人一人のデリが相互理解と対話を目指して議論に積極的に貢献できるような会議を作りました。参加した皆さんには「どういう発言をしたら相手に理解してもらえるか?」「どういう論理で説得を試みたら相手の妥協を引き出せるか?」という問いを常に考えつづけ、それを実践してもらうことになります!
僕たちと一緒に「論理ある外交」を目指してみたい方はもちろん、模擬国連の議論の面白さを実感してみたい方、コンセプトに少しでも興味を持って下さった方もぜひご参加ください!